夜明け前

もうじき小鳥の囀(さえ)ずりと共に燦々(さんさん)と朝の陽光が射し込むであろう古びた家屋のひと間

奇妙な光景がそこにあった

部屋のあちこちに倒れ伏す男たちの死体

その中央に大きな全裸の男が横倒しになり、傍らに、少年が身体を抱える様な格好で寄り添っている

そしてその少年も生まれたままの姿だ

それにしても大男の逞しく、そして醜いとしか形容出来ないその容姿とは裏腹に、少年の蒲柳の如き薄く儚い肉体、繊細な整ったその寝顔

大男の身体も顔も完全に生気が失われ、土気色になりつつあるが、少年の薄い胸は規則正しく上下動しており、こちらは間違いなく生きている