穏やかに日々は過ぎ
7月も終わりに近付いていた。


空はもっと高くなって
照り付ける太陽も元気を増していた。


二人の恋は穏やかで
言葉少ない恋だったが
お互いを見つめる瞳は
熱い熱を帯びていた。


言葉など無くても
手を繋ぐだけで
お互いの気持ちが感じ取れた。


優は精悍な顔立ちの中の切れ長な目が
優しげに目尻を下げて
優に微笑み掛ける健児が大好きだったし
日に焼けていて
引き締まった体つきや
耳にすっと入る低い声に
恋い焦がれていた。


健児もまた
可愛らしい顔立ちのなかに
時おり見せる艶やかな表情に
心奪われていたし
柔らかくふっくらとしているのに
華奢な体つきは
抱き締めると
もっと力を入れたくなった。
鼻に掛かった甘ったるい声は
健児の耳から離れる事は無かった。