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9章:8 (2/5)

確かこの坂を登って
右手に行けば大きな沼があったはず。


一心不乱に走ると
沼が見えてきた。


吹き出す汗を拭い
沼を見て違和感を感じた。


健児の知っているその沼は
清らかな水を誇らしげにしたため
青々した沢山の水草を揺らし
沼の底の底までが見えている様だった。
小さな小魚や小鳥たちが
楽しげに集まり
楽園の様な場所だった。


それがこれはどうだ。
沼の水は気持ちの悪い緑色に淀み
とても底まで見えるような物では無かった。


沸々と沸き上がる怒り。
『おのれ鬼畜米兵め。
こんな疎開先に選ばれる様な田舎にまで、空襲へ来たのか。』


健児は汚れた沼を
アメリカ兵の空爆による物と考え
はっと我に返った。


踵を返しまた坂を登り走り出した。


沼を越えしばらく走り続ける。
二股になっている分かれ道を
左に行った行き止まりに
健児の実家はあるはずだ。


ここまでアメリカ兵からの
空襲があったのなら
我が家は大丈夫なのだろうか?
心配で心配で仕方なかった。


分かれ道左へ入り
行き止まりまで来て
また健児は驚いた。


見慣れた筈の家はなく
随分とモダンな造りの大きな家が
立っている。


思わず庭先に立っている住人らしき人に
『すみません!
ここは佐藤さんのお家では?』と
尋ねると
住人は『ここは山崎だと言う。』
お礼を言い
健児はその家を後にした。


何かおかしい。
そう思ったけれど
それが何かは解らない。


知っている場所の筈なのに
何かが少しずつ違っていた。


いく宛も無く来た道を
足取り重く
とぼとぼと歩いていると
向こうから先程の女性が来た。
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飛行機雲 ©著者:ましろ

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