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15章:裏切り (6/6)

母から聞かれた
『入れられてはいないよね?』と言う
問いの意味さえ
あの時解っていれば
こうはならなかったのでは無いだろうか?
だけどそれを話していれば
母はもっとボロボロになる程
傷ついていたかもしれない。


今更葛藤していても遅かった。


それでも考えずには
いられなかった。


きっと母はあの事を
義父に問い詰めたのだろう。
口汚く罵り
罵倒したのだろう。


それは本当に我が子可愛さだけで
あったのだろうか?


まだ33と言う若い母は
その真実から
目を背けてしまったもかもしれない。
私の居ない生活の中で
母はギリギリの所で
細い糸を繋げ
義父を信じてしまったのだろう。


母は暗闇の中で私の手を払いのけ
義父を信じ
自分の中の女を優先したのだ。
それは母が
義父の話を満足気に聞く
表情からよく読み取れた。


義父は
私の居ない生活の中で
母を少しずつ口説き落とし
言葉巧みに言いくるめ
完全にとは言えずとも
信用を勝ち取っていったのだろう。





私には
この提案を拒否する権利はあるのか?


もし拒否する事が出来ても
義父が豹変し暴れ狂うのは
目に見えていた。
痛い思いをするのは嫌だと思った。
矛先が私では無く
母が暴力を受けるのを見るのは
もっと嫌だった。


大体にして私には
この提案を拒否する
充分な自主性も無く
上手い言葉を持ち合わせていなかった。


いつでも本音は隠してきた。
本当の自分さえ隠してきたのだ。
どこにそんな自主性があっただろう。


ただ嫌だと言った所で
義父は土下座でも何でもするだろう。


私に出来る事は
やはり仮面を被って
糸の切れた操り人形の様に
だらしなく片手片足をぶらさげ
頷く事しか無かった。


それで愛する母の気持ちを守れたら。
それで愛する母の女を護れたら。




それで愛する母が
少しでも私に目をむけてくれるなら。



裏切られた。


捨てられた。


そんな思いは
また心の底に鍵を掛けて沈めてしまおう。
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泥沼。(仮) ©著者:ましろ

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