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10章:〜目に見えないもの〜
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「ねえ、しゅん。
私ここにいるとなんだか落ち着くの。
すごくほっとする。
でもさ、あの人のこと裏切ってることにならない?」
煙草の煙を見ながらポツリと私は言った。
「裏切ったことにはならないよ。
ここでの生活が落ち着いたら、ちゃんと連絡すればな。
今は自分のこと優先していいと思うんだ。
生きてるんだから、幸せになることを怖がるなよ」
「幸せかーなんか私、幸せってよくわからない。
大事なものをなくしてまで、人間は幸せになれるとは思えないし」
「大事なものを犠牲にしてまで何かを手にしても、人は幸せになれないよ。
幸せっていうのは形じゃなくて、気分の問題だからな」
しゅんは煙草を吸いながら言った。
「気分?」
そこにお酒を持ったしばたさんが来て言った。
「そうそう!幸せに形なんてないんだよ。
目に見えないからこそ、みんな漠然と幸せを追い求めているんだよ。
でも、その時その人が幸せだと思ったら、その時その人はきっと世界一幸せだよ」
「幸せになるのって案外簡単なのに、難しく考えすぎてるのかもしれませんね・・・」
「そうだな・・・」
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