10:10 PM

大音量で流れるﾊﾟﾝｸﾛｯｸ。
ｺﾝﾎﾟから溢れ出す重低音と
疾走感のある8ﾋﾞｰﾄﾁｭｰﾝに合わせ、
ﾍﾞｰｽｱﾝﾌﾟに繋いだﾍｯﾄﾞﾎﾝを被り、
聖は自らの演奏を模索していた。

(♪〜♪♪〜♪♪♪♪〜♪♪〜)

兄｢聖ぃ―――っ!!
うっせぇ―ぞぉぉぉおおおおおっ!!
いい加減にしとかねーとまた
近所中から苦情の集中砲火
食らっちまうじゃねぇか――っ!!｣

(♪♪♪♪〜♪♪〜♪♪♪♪〜)





(ｶﾞﾁｬｯ)

兄｢やめろっつってんだこの
ｸｿｶﾞｷｬｱｱｱｯ(ｺﾞﾝｯ!)｣

聖｢うおっ!!…ってーなｺﾗｸｿ兄ぃー!!
ﾉｯｸぐれぇしねぇか!!｣

兄｢こんなごっついﾍｯﾄﾞﾎﾝ被って
ﾍﾞｹﾍﾞｹﾍﾞｹﾍﾞｹ弾いてりゃーんなﾓﾝ
聞こえる訳…ねぇだろがぁ――っ!!｣

(ﾒｷﾒｷﾒｷｯ)

聖は兄から制裁のｺﾌﾞﾗﾂｲｽﾄを食らった。

聖｢うぐぅぉぉぉ…!!ｷﾞﾌﾞｷﾞﾌﾞｷﾞﾌﾞｯ
ｷﾞﾌﾞｯｷﾞﾌﾞだって！
わーったから放しやがれ!｣

兄｢ﾎﾞﾝｸﾗめが…しめーにゃ
ﾂﾌﾞしちまうぞ、そのﾎﾟﾝｺﾂ｣

聖｢いや待て待て待て…
商売道具だからよ…｣

兄｢何が商売ﾄﾞｰｸﾞだ一丁前に…｣

聖の兄はﾉｼﾉｼと一階に戻って行った。

聖(…あ〜らよっ、出前一丁♪ﾁｯ…寝るか)

聖は練習の締めに某ｲﾝｽﾀﾝﾄ麺のCMﾌﾚｰｽﾞを
兄に対する当てつけのつもりで
ﾜｻﾞとらしくﾍﾞｰｽでｷﾒ込み、
寝床に身を沈めてなんとなしに
ｹｰﾀｲを手に取った。

(ﾊﾟｶｯ)


　　　　　　 【新着ﾒｰﾙ 一件】


聖(お、ﾒｰﾙ来てんじゃん。杉山か？
………奈倉!?)

(ｶﾁｶﾁｯ､ｶﾁｯ)


Date; 2010/07/23　22:15
From; 奈倉 亜美
Title; 夜分にごめんなさい…。

聞いて欲しい話があるんだけど…。

　 　　　　　　　- END -

聖(うぉぉぉぉ…!?お、俺でよけりゃ…)

(ｶﾁｶﾁｶﾁｶﾁ…)

To; 奈倉 亜美
Title; Re; 夜分にごめんなさい…。

おっす!!どーしたよぉー!!(^O^)/
なんかあったんかー!?
俺で良けりゃ聞きまくっちまうぜー★★★

　 　　　　　　　- END -

(送信しました)

聖(ｵｲｵｲ…何だよ…参ったな…
例の男とやらと喧嘩でもしたんか？
…男と喧嘩したのは俺かww
何…まさか恋愛相談とかじゃねーだろな…。
気まず過ぎんだろ、いくらなんでも…)



20分経過

聖(………おせーな!!何だよ話って!!)

(♪♪♪)

聖( ﾟ∀ﾟ)ｷﾀ――――!!

(ｶﾁｶﾁｯ､ｶﾁｯ)