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5章:無防備
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9:30 PM
陸「………。」
亜「………。」
陸「……亜美ちゃん…?」
亜「……ハィ…」
陸奥は椅子から立ち上がり、
亜美に近づいた。
そして亜美の目線と同じ高さまで
ゆっくりと腰を落とし、初めて見せる
憂いの表情で、優しく、諭すように言った。
陸「…それは、
クリア出来たらねっつったじゃん…」
亜「……じゃあ…何も、
してくれなくてイイです…。
今からメールで助けを呼びます…」
陸「……そっか……分かったよ…」
亜「………最初から……聞けば何もかも…
教えてくれてたんですか……?」
陸「うん」
亜「逃げ道を…用意してくれてた………
って事ですよね…?」
陸「違うよ」
亜「違いません」
陸「そんな風にしか解釈出来ないのなら、
僕がした説明の意味を君は全く
理解出来ていない」
亜「…どういう事ですか…?
解りやすく説明して下さい」
陸「説明なら、もう充分にしたじゃん」
亜「……あなたの理屈は…矛盾してる…」
陸「してないよ」
亜「してる」
陸「どうしてるのさ」
亜「………もういい、動かないで。
…じっとしてて。呼ぶから」
陸「………。」
亜(どうしよう……お父さんにメールなんて、
ハッタリ…。お父さんの会社の番号は
知ってるけど、ケータイのメアドは知らない…。
番号も知らない…。知ってたとしても、
お父さんメールしない人だし…。
お母さんは家電の番だからケータイ
持ってないし…。千夏と恵も、
仲はいいけど…メアドは知らない…。
キャサリンは………宛になんないな…。
となると…小笠原君かぁ…。
昨日初めてメール貰ったばかりなのに…
おかしいよね…。
学校でもあんまり話した事無いし、
そんなに仲良く無いし…。
…だいたい特別仲の良い男子なんて
一人も居やしないけど…。
あぁー…キャサリン-…絶対警察は
信じてくれないよね…。
やっぱり小笠原君に…
賭けてみるしか…無いのかな…。
なんて送ればいいんだろう…。
時間なら幾らでも有るから…
落ち着いて、冷静に、ちゃんと伝わる
文章を作らなきゃ…)
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