9章:留置場 (2/7)

逮捕され手錠をかけられた菊水。

何を考え、何を思っているのか…
憮然とした顔で何も語らず黙り込んでいた。

菊水は東口交番からパトカーに乗せられ新宿署に連行されていた。

人生初めて、逮捕という最悪の経験をしている。
これからの事は何もかもが初体験になる。

焦燥、無念さ、悔しさ、さらに怒り、そして不安と菊水の頭の中を様々な感情が飛び交っていた。
まだ興奮状態だ。頭の中は混乱している。
菊水は新宿に出かける前にがっつりシャブを打ち込んでいる。
いまだガンガンキマっていた。

逮捕され身柄を拘束されているという事はどういう事なのかよく理解できないでいた。

事の重大さを菊水はわかっていなかった。