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3章:田原 麻美の場合 (1/14)

3章:田原 麻美の場合

透き通った海

穏やかな海面を一隻のボートが漂っている

白いワンピースに身を包んだ私は、そのボートの上で目覚めた。

ここは何処なのか
私は、何処へ向かおうとしていたのか
そして何故ここにいるのか

頭に靄が掛かったように思い出せない。

だが、海中を自由に泳ぎ回る多彩な魚達が、不安と焦りを払拭し、穏やかな気持ちにさせてくれた。

私はボートにもたれ、手を海に浸し、心地よい時間に身を委ねた。

どのくらいの時が過ぎたのだろう。

木の葉が岸に吸い寄せられるように、とある島にボートが吸い寄せられていった

真っ青な海に白い砂浜

まさに楽園と呼ぶに相応しい

膝くらいの深さになると、スカートをたくし上げ、ボートを下りた。

冷たくて気持ちいい

透き通った水は、屈折する事なく、爪先までハッキリ映し出した。

そして私は、木の葉やボートのように楽園に吸い寄せられて行った。

降り立った白い砂浜は、歩くたびにキュッキュッと音がする。

その感触を楽しむように、私は歩きだした。

なんて気持ちのよいどころだろう

ふと、一軒の建物が目に映った。

マッチ箱のような家に、ドアらしきものが付いているだけ。

楽園には似付かわしくない佇まい

何だろう?

でも、心なしか見覚えがある気がする。

私は恐る恐る、そのドアを開けてみた。
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(幽)輪廻 ©著者:まっきー

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