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3章:田原 麻美の場合
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「ごめんください。
誰かいますか?」
顔を半分だけ覗かせ、中の様子を窺った。
すると、小柄なオジサンが出迎えてくれた。
『いらっしゃいませ。』
優しい顔立ちは、ひとまず害はなさそうだと判断し、少し緊張を解いた。
「お客さんじゃなくてごめんなさい。
ちょっとお尋ねしたいんですが・・・」
もう少しドアを引いて言った。
『なんでしょう?』
その人は、ニコッと笑って答えてくれた。
「ここは、どこですか?」
『お客様の次の入体先を斡旋するところです。』
予想外の答えに、私は戸惑った。
場所について訪ねたつもりだったのに、ニュウタイサキ?
意味が分からない。
「どう言う事ですか?」
『今生…
もう前世ですが、お客様の生き様を振り返ります。
そして、反省点があれば気持ちを改めていただき、生まれ変わり先を決めるのです。』
は?
前世って何!?
振り返るって何!?
ちょっと待って。
その前に、私は死んでるの?
『立ち話も何ですから、どうぞお入り下さい。』
「いえ、結構です。」
穏やかな気持ちから一転し、私は警戒した。
『そうですか。
しかしながら、もうすぐ嵐がくるので、雨宿りをした方が宜しいかと・・・』
うそだ!
こんなに穏やかなのに、嵐なんか来るはずがない。
そう思って振り返ると、さっきまでの海が嘘のように荒だっていた。
その上には、どす黒い雲まである。
私は、渋々お邪魔する事にした。
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(幽)輪廻 ©著者:まっきー
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