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4章:初担当 (5/5)

それから冴子は、俺が出勤の日は毎回『MOON』に来るようになった。


Wワークの俺の身体を心配し、あまり飲まないようにと言う。


しかし、酒を減らさなければ売り上げにはならない。
冴子が殆ど飲まない為、ヘルプでも付かない限りは俺が飲むしかない。


夜遊びをした事の無い冴子は店のシステムを全く知らないのだ。


しかし、自分からそれを説明するのも気が引ける。


俺は暫くそれを黙っている事にした。


そんなある日、冴子と約束していたにも関わらず、俺は大幅に遅刻をしてしまった。


昼職で不具合があり、取り付けた看板を最初からやり直さなくてはいけなくなったのだ。


慌てて『MOON』に行くと、冴子には翔がヘルプで付いていた。


「お早い御出勤で〜」


翔の嫌みを無視し、冴子の隣に座り謝る。


「お仕事なら仕方ないわ」


本当に冴子は出来た人だ。


パチン!


翔が指を鳴らすと、何故かシャンパンとクーラーとが運ばれて来た。


「遅刻した英司君の為に〜っ!冴子様からモエシャンドンのロゼ頂きました〜っ!」


えっ?!


「今まで何も知らなくてごめんね」


「冴ちゃんが謝る事ないよ」


どうやら、翔が全て説明したらしい。


迷惑なような、ありがたいような複雑な心境だ。





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桜の木の下で ©著者:僚

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