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2章:友達の境界線
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『優太!…アイス食べたい!アイス食べなきゃしぬぅ〜!』
「へーへー。買ってきますよ〜抹茶でいいの?」
優太はぶつくさ言いながらも出かけていった。
今日は私のマンションに優太を呼び出し、いつも通り私達は酒を飲んでいた。
優太が出かけると、仕事であった嫌なことが急に脳裏に浮かんできて私は一人毒づいていた。
『―…ったく。…だいたい…チーフだって……。』
私は口のなかだけでブツブツ独り言を言いながら、優太と色違いで買った、おちょこ(…にしてはでかすぎるが)の酒をクイッと飲み干して、鮭の西京焼きをつまんだ。
「…ぉいぉい…オッサン…大丈夫かぁ〜?」
いつの間にか優太が帰ってきて冷蔵庫に買ってきたものを入れていた。
私は酒の感覚がいつも以上に強く、思ったように足に力が入らなかったが、酔っているのを隠すよう、何事も無いように立ち上がった。
『―…さんきゅ〜優太ぁ…………ぁ…ぁれッ?』
―…ガクッ…―
まるで小学生の時に流行った“膝カックン”をされたように、ガクッと、前のめりに転びそうになった時…―
「―…ぉ…ぉいっ!大丈夫かょ!」
優太の腕が私を抱き止めるように支えてくれた。
『…だッ…大丈夫だょッ!…アハハッ…酔っぱらい扱いしないでくれる〜!?』
「…フッ…いやいや。全然酔っぱらいですから。あなた。」
優太は私を支えながらゆっくりとソファーに座らせてくれた。
私は酔ったフワフワした感覚のなか優太の腕って見た目よりしっかりしてるんだなぁ…とかぼんやり考えていた。
優太はアイスとスプーンを差し出してくれたが私はソファーにボフッと横になり、あ〜ん。と間抜けに口を開けた。
「まじ酔っぱらい。」
と言いながらも、優太は少しずつアイスを食べさせてくれる。
酔って火照った舌にアイスはスウッと溶けていく。
抹茶の渋い風味と少しシャリッとした食感がたまらなく美味しい。
私がパクパク食べているとそんな様子を見ながら優太は笑っていた。
『…なぁ〜に、笑ってんだよぉ〜』
優太は子犬みたいに大きな瞳を細めて左頬にエクボをつくりながら笑っていた。
「沙羅って、ほんっと美味しそうに食べるよなぁ。って思って…見てるとこっちまで食べたくなる。」
そう言うと優太は私の口に運ぶはずのスプーンを自分の口にパクッと入れた。
『ぁあ〜!なに私のアイス食ってんだよ〜!…ッ返せッ!』
「うっせ!あ〜美味しい!」
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きみの名を呼ぶ ©著者:金木犀
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