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5章:優太の優しさ (2/3)

 

カーテンから差し込む日の光で目が覚めた。 
なんだか夢を見た気がするが、頭がはっきりするのと同時に忘れていった。 






「……おはよう…」




ベッドのそばに優太がいた。
毛布一枚だけを羽織り、目は赤く充血していた。 


『…ずっと起きてたの?』

「…沙羅の寝顔があまりにも間抜けで、面白くて寝れなかった。」


『…』

―…ボフッ!…―


私は無言で枕を投げた。 
優太は笑わず、真面目な顔で枕を受け止めた。


「…沙羅…

…本当にゴメン…ごめんなさい。」


寝起きの思考回路で、一瞬何のことだろうと考えてしまった。 


「…本当に反省してる…

…だから…

別れないでほしい…。」


私は表情を変えずに、あ。そうだった…と思い出した。 

優太の真剣な眼差しを見ると、なんだか胸が締め付けられるようにキュウッとなった。 
可哀想や、申し訳ない、と言った感情ではなく…


…可愛いッ! 


と思い、優太をギュッと抱き締めて耳元でそっと囁いた。 


『…優太……

…お腹すいた。ベーコンエッグ食べたい。』



優太は馬乗りになり、バフッと枕で私の顔を埋めてくすぐってきた。 

『…アハハ!キャー!やめてやめて!イヤー!』

優太のくすぐりの手が止まったので枕をどけた。 



…優太は…




…泣いていた。 


優太はそっと私にキスをした。
しょっぱい涙の味がした。 
私をギュゥッといとおしそうに抱き締めて、いつしか言っていた言葉をポツリと言った。



「……よかった……。」





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きみの名を呼ぶ ©著者:金木犀

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