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10章:〜天秤〜
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未歩は夢の中で、いつか翔と見た桜の木下で、桜の花びらに包まれながら、翔の腕に包まれ寝転がっていた。
それがあまりにも暖かく気持ちが良くて、まるで天国にいるかの様な気分だった。
二人で時折、顔を見合せ笑い合うと、翔が未歩のオデコや瞼にキスをして、未歩が照れながらもそれを返す。
「・・・翔さん、本当にありがとう・・・私、翔さんの事が・・・・・・・・」
・・・・好きです。
そう伝えようと思った時だった。
一瞬にして辺りが真っ暗になり、暖かかった空間は、暗く冷たい空間に変わる。
未歩は自分を包んでいた筈の翔の腕を、暗闇の中、手探りで探す。
やっと見つけた翔の腕は、先程とはうって変わって、まるで氷のように冷たかった。
未歩は、その手を手繰り寄せる様に翔の元へ行くと、小さな光が差し込み、そこには目を固く閉じた翔の姿があった。
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