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7章:〜疑〜 (66/66)




翔はそう言うと、照れた様な困った様な表情で真っ直ぐに未歩を見つめる。


そんな翔を見ると、未歩の目からは想いの全てが涙となって溢れだした。


自分も好きだと伝えたい。
だが、伝える事は出来ない。


胸を締め付ける様な痛みが未歩の体を駆け巡る。




今まで経験したどの痛みよりも、きつい痛みに未歩は声を出して泣きそうになるのを口を押さえて我慢した。




翔「・・・ごめん。
泣かないで。」



翔はそんな未歩を自分の胸に引き寄せると、優しく未歩を抱きしめた。



翔「・・・迷惑だったよね・・・ごめん・・・頼むから泣かないで。」




未歩は翔の胸の中で首を横に振ると、翔にそのままギュっと抱きついた。




翔はそのまま未歩を守る様に抱きしめると、二人はそのまましばらく抱き合っていた。





〜♪〜♪



しばらく抱き合っていた二人の時間を無機質な携帯の着信音が終わらせた。



未歩が翔の胸から顔を上げるとベンチに置かれた鞄を見る。



その音は鞄からしていて、未歩は無言のままベンチに戻ると、鞄の中から携帯をとり、開く。



隼人



そう表示された文字に涙も全身の血も一気に引いていくのが分かった。


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X ©著者:百合蝶

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