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3章:その3 (1/3)

3章:その3

僕は
大学病院でやるだけのことはしてきた。
いわゆる凱旋帰国だ。1年ぶりに

「よく頑張ったね」
「見違える程、回復したね」
当時からいた人達が、そう声をかけてくれる。

病室に案内され、ベッドでひと休みしていると、看護婦さんがやってきて、入院についての説明をしだした。
僕にしたら、入院生活1年2ヶ月のベテラン
「何を言ってるんだ、この看護婦は…」と思って聞いていた。
話が終わった頃「何か質問は?」

僕は顔を上げた時、
ビックリする程の衝撃が走った。

「天使だ…」

一目惚れだった。

僕は
闘病生活にも、毎日のリハビリにも、俄然やる気が増した。

入院生活1年6ヶ月
僕と看護婦さんは仲良くなっていた。

普通より仲良く。

そして
その看護婦さんの誕生日に花を送った。
「お誕生日おめでとう。誕生日を迎えた数だけのバラを贈ります」とメッセージを付けて。

その夜
看護婦さんは消灯過ぎの僕の病室へやってにきて、笑顔でこう言った。
「お花ありがとう。でも1本足りなかったよ」

僕には計画通り。

「はい、この1本で数があったね。お誕生日おめでとう」と言って僕はバラを1輪差し出した。

看護婦さんは
目から涙をこぼしながら喜んでくれた。


そして
僕達はキスをした。


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白の天井へ思ふ ©著者:ka-two

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