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8章:産後 (1/3)

8章:産後

赤ちゃんが新生児室に移動した後、私の膀胱にクダが入れられた。看護士さんがお腹を摩ると私の意思とは関係なく尿が出て来た。

私はストレッチャーに寝かされ病室まで移動する。
廊下に出た所で、健太、お義母さん、父親、弟、おばあちゃんがいた。みんな「よく頑張った」と褒めてくれた。嬉しかった。

病室で父親に「産まれる瞬間ね、なんかニュルっとした感じがしたよ」っと話すと「そんなのは気持ち悪いから聞きたくない」っと言われた。
淋しかった…父は私のエコー写真も気持ち悪いと言って見てくれなかった。

私はあなたにとってなんなの?…
いつも父や母や弟の顔色ばかり見て生きてきた…

母との離婚は父は私のせいだ!!と言った。私と母が上手くいかなかったから…母は毎日、毎日、私を罵倒し殴り蹴られ、真冬に全裸にさせられ水をかけられたり、指をライターで焼かれたりした…

でもね、お父さん、私知ってるんだ。お母さんが男好きって事を…いつも集金に来るガス屋さんに腰をクネクネしながら話してたのを。近くの靴屋さんからラブレターが来てたのを知ってるんだ…
でも、お父さんは認めたくないから私のせいにしてるんだよね。

母が私に虐待していたのは私が母と顔も性格もそっくりだから…

父が私を弟みたく可愛がらないのは私は父や弟と違って頭が良くないから…
母に顔が似てしまったから
でも、お父さんあなたは誰よりも世間体が大切だった。だから私をガンジガラメに縛りつけた。

この子にはそんな思いをさせない
いっぱいの愛情を捧げるから…

私のようにはならない…
私のようにはさせない…
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逃亡 ©著者:美桜

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