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19章:罠、五。
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ハジメさんは笑う。
儚げな笑顔だった。
尽くす女の顔だった。
思わず、手が伸びた。
計算じゃなく、可愛いと思ってしまった。
艶の余りない、きれいとは言えないぱさついた髪の毛を撫でた。
「無理しないでなんて、俺は言わないよ」
「うん」
「けど、無理言うけどさ。俺の前では泣かないで、笑っててほしい。俺も、泣かせないし、笑わせるからさ」
「サキちゃんはいい男だね」
ハジメさんが、すっと寄り添ってきた。薄い体が俺の腕にすっぽりおさまる。
「もっかい、エースになってみよっかなw」
薄幸な笑顔。
それに答える前に、
「いらっしゃいませー!」
あきちゃんがやってきた。
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赤い石の話。 ©著者:至音
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