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11章:転機、二。
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その客は、おどおどした様子を隠せずに座っていた。
「あきっていうの」
「そっか、あきちゃん、俺はサキトです。よろしくね」
最初の会話なんか、もう覚えてないけど、まぁそんな感じで適当に会話をしつつ、どう見てもホストクラブには似合わない雰囲気の彼女を監察した。
身に付けているモノは、高価なモノばかりだった。時計、ネックレス、携帯ストラップに至るまで高級ブランドでかためた…けど、本人はと言えば。
無理やり細く作った眉毛に、顔に合わない化粧、明るい茶髪。スタイルも、いわゆる樽だ。
俺が、ホストクラブの客ってこういう人が多いんだろうな、と想像してた、絵に描いたようなデブス、って感じ。おそらく、お水や風俗のコじゃない。実家がお金持ち系なんだろうな、と推測した。エコさんに教えて貰ったオーラ、ってやつで。
周りの様子に明らかにおどおどを隠せないあきちゃん。会話がすぐに止まる。振っても返事には必ず間があいた。
初回だから、俺が卓にいる時間はあと少し。
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赤い石の話。 ©著者:至音
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