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6章:四つ葉のクローバー
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子供と本気で遊ぶ1時間はきっと、俺の3日分くらいの疲れがある。
いや。まじで。
『…はぁはぁ。…ちょ…ちょっとまじ…休憩…』
「…え〜またぁ?お兄ちゃん大丈夫?」
俺はぐったりとベンチに座り込んで、買ってきた缶ジュースでりょうやと一緒に休憩した。
この暑さに溶けそうだ。
「…お兄ちゃんも、けっこん。してないの?」
『ん〜。してない。』
…も、って事はりょうやの母親はシングルマザーなのか…?
りょうやは結婚の意味を理解してるのかいないのか、小さく、ふ〜ん。と言った。
『しかし。たまにはいいな。こーやって外で遊ぶのは…』
「ヘヘッ!お兄ちゃん休んでばっかだけどね!」
りょうやはだいぶ俺に慣れてきたみたいでイタズラっぽく言った。
『なんだとぉ〜!』
りょうやは、きゃ〜!と叫びながら逃げ出した。今度は鬼ごっこの始まりだ。
俺とりょうやはまた夕方遅くまで遊んだ。
…ちょこちょこ休憩しながら。
『それじゃぁ、りょうや!またな。』
りょうやは名残惜しそうにしながらも今日は素直に手を振った。
「うん…お兄ちゃんまた遊ぼうね!」
りょうやは緑のマウンテンバイクにまたがり大きく手を振って公園を出て行った。
―…ニャァ〜…―
りょうやと別れたあと、むしろそれが自然かのように、クロは俺の後をついてきていた。
俺はチラッとクロを見て、フッと小さく笑った。
…ペット可のマンションに引っ越すかな。
などと思いながら、俺は菜々美と再会した寺の近くまで足をのばした。
夜の寺にもちろん人気はなく、遠くからは気の早いセミの鳴き声が聞こえてきた。
―…ニャァニャァ…―
クロは俺を見上げて鳴いた。
『…なんとなく、お前と一緒にいれば菜々美にまた会える気がしたんだけど…
……そんなうまく行かないわな。』
クロは俺を左右違う瞳でじっと見つめて…なんだか吸い込まれそうだった。
『…それにしても、お前…しっぽもう1本どこいっちったんだ…?』
クロはあれからしっぽが1本のままだった。
―…ニャァ…―
クロはクルッと踵を返すと出会った時と同じようについてこいと言った様子で歩き始めた。
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黒の扉 〜トパーズ〜 ©著者:金木犀
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