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4章:同じ名前の少年
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「―…お兄ちゃん?どうかしたの?」
少年の声に俺はハッとした。
『あ…いや。…この猫っていつもと違うところない?』
「?…ううん。いつもと変わらないよ?」
…俺の気のせい…?
…見間違い…?
いや。たしかに2本あったはず…。
―…ニャァ〜ニャ〜…―
「…お兄ちゃん。サッカー上手だね!僕リフティング3回までしか続かないんだ…」
少年は、ほら。と言うふうに、リフティングをして見せた。
4回目で少年は見事に空振りして滑って転んだ。
少年は子供らしい笑顔で、えへへ。と笑った。
『…ハハッ。いいか…もっと膝をやわらかくして、ボールをよく見るんだ。』
「こう?お兄ちゃん?」
俺はしばらくの時間、少年とリフティングやパス、シュートなどサッカーの練習をしながら遊んだ。
…が。
日頃の運動不足と暑さ、そして二日酔いで速攻バテた。
『…はぁはぁ。ちょ…ちょっと休憩…。はぁ…なんか飲み物買ってくっから…』
…情けない。
もちろん少年は暑さで頬を赤くしてキラキラと汗をかいていた。
……ちくしょう。
……………若いっていいな。
公園の脇にある自動販売機でジュースを2つ買い、少年が座って待っているベンチへ戻った。
『…ほれ。これで良かったか?』
少年はヘヘッと照れながら笑い。
「ありがとー!お兄ちゃん!僕このジュース大好き!」
2人でジュースをグイッと飲むとCMのキャラクターのように、ぷはぁっ。と息をはいて少年と顔を見合わせて笑った。
『…そーいやぁ、名前聞いてなかったな。』
少年はジュースをもう一口飲むと手の甲で口を拭い、笑顔で言った。
「…僕、りょうやって言うんだ。9才!…お兄ちゃんは?」
俺は思わず咳き込んだ。
『…ゲホッゴホ。…お…お前、りょうやって言うのか?…どんな漢字書くんだ?』
少年は指で地面に漢字を書いた。
涼哉
…と。
まったく同じ名前に親近感を持ちなんだか俺は嬉しくなった。
『…ハハッ!そっか!…俺も涼哉って言うんだ。…28才。よろしくな。』
「…本当に?!すげー!同じ名前だね!…ヘヘッ。よろしくお兄ちゃん!」
それから、俺と同じ名前の少年りょうやと学校の事、友達の事…担任の先生が好きな事。
公園の片隅に止めてあった、ママに買ってもらったばっかりの真新しい緑のマウンテンバイク。
りょうやは笑顔でいろんな事を話してくれた。
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黒の扉 〜トパーズ〜 ©著者:金木犀
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