片側の海岸と、反対側に建ち並ぶホテルは、英国人の散歩道・ﾌﾟﾛﾑﾅｰﾄﾞﾄﾞｭ ｻﾞﾝｸﾞﾚとよばれる歩道とカンヌなど南仏の保養地へのバカンスへ急ぐ車がとばす車道が隔てる。

フランス人たちは、この一ヶ月ほどもある長い長いバカンス、この夏休みを楽しみに、例えそれまでの一年、仕事やプライベートで嫌なことに出くわしても、それをやり過ごすのだとか。




自分には生きている苦しさに耐えて残りの人生を、いやあと一年を、いやいや今この瞬間さえをも生きる力となるものは何もない。


死んでしまえば
もう生きていなくていい


自殺する自分を妄想することだけが、幼い頃からの唯一の密かで甘美な愉しみだった。





アイツと出逢うまでは…