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4章:転換期
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やわらかくアタシの胸を愛撫し、顔を埋め、キスを繰り返し、匠が悪戯っ子の様に笑っては睦言を囁く。
アタシは甘い蜜に浸る身体とは裏腹に、醒めた頭で決めていた。
その気にさせたというなら、口ででも処理してあげよう。
けど、身体を開くことだけはできない。
その時は自覚していなかったけど、沸き起こった母性本能のような愛しさに、理性が鳴らしたなけなしの警報だったのだ。
時間を費やし、お金を払い、身体まで差し出したら、アタシは匠から引き返せなくなる。
その夜、広海さんを思い出すことは一度もなかった。
もうすでにこの時から、アタシの中に匠はすっかり侵食してきていたのだった。
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