まだ世界に様々な種別の者が息づいていた時代。地底人と言われる彼らは地上に住む者よりも特殊な能力があった。

シュリとアヤノの一族もそうだ。
彼等は、『吸血鬼』の一族。吸血鬼の血を受け継ぐ者達。
地上から地底に住む場を追いやられてしまった地底人。
正体を知られること無く生きていかなければならなくなった者達。

古来の『戒め』は現代に至っても、ほどき解かれる事はなかった。
吸血鬼一族の繁栄の力が衰え始めたのはここ五百年あたりだ。
食事の中心はやはり血液。地上人と同じ食事だけでは足りないのだ。
思うように食事が出来なくなった吸血鬼一族は子孫を残す力が無くなりつつあった。
子供の数が激減し、女は身ごもっても流産するか、母子共々死んでしまう事が続いた。
そんな危険な賭けに何度も挑戦するわけにはいかない。
そこで、伝説を信じてみる事にした。
それが『天使伝説』だ。