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16章:謎解き (13/13)


「梨香・・・健ちゃん行っちゃったよ。」

入り口の戸に寄りかかりながら、梨香の背中を見て話す。

この部屋には入りたくない。

いろいろな思いが渦巻いている気がして・・・。


「真美ちゃん・・・ありがと。」


意外な言葉に少し面食らいながら、黙っていると梨香が話しだした。


「だってさ、健ちゃんを巻き込む訳にはいかないじゃん。いいひとなんだもん。真美ちゃんには悪かったと思うけど・・・」

泣いているのだろう。鼻声だ。


「真美ちゃん、今までありがとう。もう出ていって。そこに鍵があるから。」

辺りを見回すと、足元に鍵が落ちている。

車の鍵も付いていた。

「梨香もう疲れちゃった。自首するよ。」


梨香はまだ、こっちを見ない。


「だから、真美ちゃん出ていって。」


アタシは信じられなかった。


「梨香・・・ほんとにそう思ってる?」


「・・・うん。」


「じゃあアタシを見て話して。」


梨香の体がピクリと動く。
梨香は黙ったまま。


「ねぇ梨香。我慢しないで・・・。」


梨香はまだ黙ってる。


「アタシの気持ち・・・正直に言うね。・・・梨香が居なくなったら悲しい。でも、愛せない。友達として、親友としては好きだけど。愛してるのは大樹だけなの。」


梨香がやっと答えた。

「・・・何が言いたいの?」


殺されるかもしれない。
ううん、目の前で梨香が死ぬかも知れない。

「だけどアタシは・・・梨香に最後まで付き合うつもり。・・・だった。」

口の中はカラカラだ。

「・・・つもり、だった?」


唾はないけど、ゴクリと喉を鳴らす。


緊張した、張りつめた空気が流れる。


「アタシは・・・」



――――ブロロロロロ…バタン!!!
バタン!!!


車が停まる。


何台も。


――――ああ。


最後の時が来た・・・。


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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん

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