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17章:緊張
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異様な緊張が走り額に汗が、じわりと滲む。
梨香は振り向き、アタシの腕を掴み、寝室へ引っ張るとドアを閉めて鍵をかけた。
「・・・だから出ていってって言ったのに。こんな事、やりたくなかった。」
呆然としてるアタシの両手をあっと言う間に後ろで掴み、手錠をかけた。
――――梨香・・・
沢山の足音が聞こえる。
静かに、探し回るように。
梨香の息が荒い。
「梨香・・・落ち着いて、おねがい・・」
「真美っ!!!」
―――っ大樹!!!!
「ここか?梨香、開けてくれ!真美を・・・真美のことを本当に好きなら、解放してくれ・・・」
大樹・・・
涙が一気に溢れだす。
ふと梨香を見ると、なんとも言えない、全てを諦めたような、それでいて怒りが奥底で燃えているような目をしていた。
こんな目をしている梨香を大樹に会わせる訳には行かない。
「大樹!アタシは大丈夫だから。だから帰って!お願い…」
今は……。
アタシが梨香を説得してみせるから。
「真美、よかった……よかった…。でも俺は帰らない。梨香、頼むから………」
複数の足音が止まった。
静まりかえっている。
梨香はアタシの手錠に手をかけ、声高らかに笑い出した。
「〜ははっ、おっかしぃ〜……笑える。大樹さん、あんた邪魔。真美ちゃんのことを本当に好きなら、周りの人みんな引き上げてよ。…死んで欲しくないでしょ?」
沈黙が流れる。
アタシは梨香を見る。
もはや、梨香の目には誰も写ってない。いや、写らないだろう。
「梨香、落ち着いて、お願い。アタシはどこにも行かないから。ね?」
そう言うと、梨香はアタシの手錠から手を離した。
黙ってアタシを見つめ笑いながら。
そして、おもむろにこう切り出す。
「真美ちゃん、さっきの話の続きを聞かせて?外にいる人達にも聞こえるように、ドアの前でね。」
――――梨香……
アタシは……
何も答えられず、立ちつくしていた。
この話しをすれば、アタシはどうなるかわからない。
「ねぇ!早く!」
梨香に促され、さっきよりも、もの凄い緊張感に包まれながら、アタシは話しだした。
「アタシのお腹の中には……赤ちゃんがいるかもしれない。」
梨香は薄く寂しそうに、笑った。
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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん
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