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15章:困惑
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長い沈黙。
そして重い沈黙だった。
突然、健次が笑い出す。
「何言ってるんすかぁ〜!真美ちゃんをストーカー?刑事を殺した?ありえませんよ〜!悪い冗談やめてくださいよ〜アハハ」
俺は答えない。
「・・・・まさか、ウソでしょ?あいつが・・・そんな事するわけない!」
床をドンと拳で叩く。
俺は静かに口を開いた。
「いや、冗談じゃない。本当の話だ。それにさっき言ったけど、反論は認めない。これから俺は北川さんに協力してもらって、梨香の実家に向かう。急がないと真美が危ない。」
健次は納得できないと吠えた。
だが、俺の気持ちは変わらない。
「お前は自宅に一度戻れ。必ず連絡するから。北川さん、何か聞くことありますか?」
呆然とする健次を見て、北川刑事は首を横に振った。
「じゃあ行きましょう。健次、梨香から連絡が来たら、必ず教えてくれ。」
「・・・・。」
健次はまだ動かない。返事もない。
考えがまとまらないのだろう。
無理もない。
惚れた女が、親友をストーカーして刑事を殺して・・・
俺だったら、どうするのだろう。
「健次。落ち着いたら、帰れよ。鍵は郵便受けに入れといてくれ。ここに置いていく。」
俺はスペアの鍵を靴箱の上に置いた。
靴を履いて玄関を出ようとした瞬間、
健次が
「俺も行きます。連れていってください。」とかすれた声で言った。
俺と北川刑事は顔を見合わせる。
なおも健次は続ける。
「お願いします。結果はどうあれ、見届けたい。そして、側についていてあげたい。」
今にも泣きそうな声で力強く訴える。
俺はまた、北川さんを見つめた。
北川さんは一瞬顔をしかめたが、少しの間のあと頷いた。
健次を見ると、哀願するような目で俺を見ていた。
「・・・・いいのか?今まで何も知らなかったって事は、梨香に裏切られてるんだぞ?これからもっと辛い事があるかもしれないんだぞ?それでも」
俺の言葉を遮るようにして健次がキッパリと言った。
「かまいません。元々俺が一方的に好きだったんだ。大樹さんや刑事さんの話しが本当でも、俺はあいつが好きです。」
意思は変わりそうにない。
「・・・わかった。じゃあ行こう。」
もし俺だったら―――
健次と同じ事を言っただろう―――
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