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15章:困惑
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健次の目は真っ赤だった。
光の加減のせいか、顔色が悪い。
俺は覚悟を決めた。
――――トゥルルルル…カチャ「あ、すいません。実は今、梨香の彼氏が来まして………はい。何も知りません。………えぇ、そう考えてます。………はい、お待ちしてます。」
健次はまだ、玄関につっ立ったままだった。
「・・・まあ、上がれ。」
健次の顔は、泣きそうな、それでいて怒っているような、なんとも形容し難い表情をしていた。
靴を脱ぎ、のそりと部屋へ入ってきた。
入り口に立ったまま、口を開いた。
「大樹さん・・・何が起きてるんですか?松木にも電話したけど、知らないの一点張りで・・・。それに今かけてた相手は誰なんですか?」
返事をせずに、煙草に火を着ける。
「大樹さん・・・」
「まあ、座れ。今、電話の相手が来る。来たら、俺が説明するから。」
健次は何かいいたそうな顔をしたが、言葉を飲みこんで、渋々向かいに腰をおろした。
煙草を深く吸い込んで、煙を吐き出す。
ゆらゆらと紫煙が立ち昇って行くのを確認したあと、健次に質問した。
「これから言う話しは、お前にとっては辛い話しだと思う。・・・お前は梨香が好きだよな?その気持ちは変わらないと思うか?」
唾を飲む音が聞こえた気がした。
「・・・変わりません。」
健次の血走った目が、俺を真っ直ぐに睨みつけながら、答えた。
「そうか・・・。」
―――――ピンポ〜ン
カチャ
「お邪魔します。」
北川刑事が入って来た。
「健次、こちらは○○署の北川さんだ。北川さん、こいつが先ほど話しした小林です。」
互いに会釈をする。
健次の目は警戒に満ちていた。
「健次。時間がないから手短に話す。反論は聞かない。それでもいいか?」
少しの沈黙のあと、健次は黙って頷いた。
北川刑事をチラリと見ると、あぐらをかいて目を閉じて、腕組をしていた。
俺は煙草を消して、
深呼吸をした。
気持ちを落ち着かせて話し始めた。
「・・・梨香は、自分の常連客と組んで、真美をストーカーして、部屋に訪ねてきた刑事を殺した。今は真美を連れて逃亡中だ。」
健次は目を見開いた。
「・・・は?」
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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん
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