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15章:困惑
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車で約三時間―――
雪が降っていたわりには、滑らない。
まだ路面が凍結していないせいだろう。
車の中は重い空気が流れていた。
誰も口を開こうとしなかった。
刑事が運転して、大樹さんが助手席に座っている。
俺はぼんやりと、外の景色を眺めていた。
街から離れ、段々と寂しくなってきた景色を。
―――梨香が人を殺した。
信じられない。
いや、それよりも真美を客と共謀してストーカーしていたなんて・・・。
・・・きっと何かの間違いだ。
また別の人間が絡んでいて、脅されているのかも知れない。
俺が側にいて助けてあげなきゃ。
―――♪♪♪♪
「はい、北川です。…おぅ。………そうか。わかった。……ああ、今向かってる。………ふん、言わせとけ。……ああ、何かあったら知らせる。じゃ。」
イヤホンをしながら携帯で話していた北川さんが話しだした。
「今連絡ありまして、携帯電話が見付かったそうです。」
大樹さんは身を乗り出して次の言葉を待っていた。
北川さんは前を見たまま答えた。
「伊藤さんと小川さんの携帯が2台とも道路に落ちてました。多分、捨てたんでしょう。」
「…2台とも…。ってことは、誰かまだ絡んでいて、二人とも拉致されている可能性も出てきましたよね?!」
二人とも、無言で答えない。
少しの沈黙のあと、北川さんが口を開いた。
「小川さんの部屋から、指紋を採取しました。ひとつは本人、ひとつは伊藤さん、もうひとつ…男性の指紋が出てます。死んだ松永とも違っていたし。…多分あなたでしょう。あとから取らせてもらいますが。あなたなら、事件当日はアリバイがあるから違う。」
北川さんが言おうとしている事がわかった。
―――やっぱり、梨香なのか・・・?
「健次。あまり考えるな。」
大樹さんがぽつりと言った。
「・・・はい。」
と返事はしても、考えない訳がない。
頭ん中は、梨香の事でいっぱいだ。
何があったんだ。
そんな事を考えてるうちに、梨香の故郷に着いた――――
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