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12章:不安
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――――急がなきゃ。
アクセルを踏み込み、スピードを上げる。
連絡がつかない以上、家に大樹さんが来てるかもしれない。
ふと、北川という刑事の顔が浮かんだ。
――――あの人は関係ないでしょ。
とりあえず、ヤバイ物はパソコン位かな。
――――まだ三十分も経ってない。
急げ!
――――――ようやく、マンションに着いた時には辺りは暗くなっていた。
周りを確認しながら、マンションに入る。
エレベーターに乗り、家まで走る。
――――うん、誰もいない。
鍵を開けて、部屋に入りパソコンを紙袋に入れる。
―――ピンポ〜ン♪
インターフォンが鳴った。
えっ!!誰!!
大樹さん・・・?
ヤバイ。。
―――「小川さん、いますか?すいませ〜ん・・・」ガチャ
鍵を掛け忘れてた!
慌てて玄関まで出て行くと、見知らぬ男が立っていた。
「すいません、鍵が開いていたみたいで・・・あ、怪しい者じゃありません。安田といいます。」
手には警察だと証明する物を持っていた。
「どうして刑事さんが?あ、例のお客さんの事ですか?」
「いえいえ、あの〜伊藤真美さんは?今いらっしゃいますか?」
え?違うの?真美ちゃんの事?
「今ちょっと出かけてますが。真美ちゃんがどうかしました?」
「あ、すいません、実は川島大樹さんから捜索願いが出されてまして・・・あなたと伊藤さんに。小川さんは事情を知ってますよね?伊藤さんにつきまとっているストーカーの事。今回手紙やDVDを提出されたんです。」
――――警察に届けたんだ。マズイ。
なんとかしなきゃ。
「そうだったんですか〜。あ、よかったら上がって下さい。あの、安田さん?だけですか?」
「はい、今川島さんとうちの刑事が一人、伊藤さんの自宅に向かってます。あ、お邪魔します。」
今がチャンス―――
安田という男は、テーブルの前に座り携帯を取り出し電話を掛け始めた。
「・・・出ないなぁ。」
今だ!
梨香はスタンガンのスイッチを入れ、男の背中に押し付けた。
体が激しい痙攣を起こし、男はその場に崩れた。
うつ伏せになった男の背中に、何度も何度も包丁を降り下ろした。
血が噴き出して、返り血を浴びた。
急いで着替え、汚れた服と凶器を紙袋に入れて、パソコンをもって家を出た―――
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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん
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