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12章:不安 (10/11)


――――ひんやりとした部屋の真ん中には、天蓋付きの大きいベッドが置かれている。

入ると妙な感じがした。

ふと目についたサイドテーブルには、写真が飾ってあった。

父親と母親と思われる人物と多分梨香のお姉さん、そして梨香が写ってるのだが、父親と母親の顔には無数の穴が開いてる。


―――親を恨んでいた?


部屋をよく見ると、いろんな所に写真が貼られてる。

やはり父親と母親の顔には、無数の穴が開いていた。

そして最初に感じた奇妙な気持ち―――
この部屋には窓がない。
この異様な雰囲気のする部屋が、アタシはなんだか怖くなり、部屋を後にした。

あとの二つはトイレと風呂場だった。


どちらも窓には、鉄格子がはめられていた。

逃げられないと言った意味が、よくわかった。


リビングに戻り、キッチンへ向かう。


覚悟を決めたら、急に空腹を覚えた。

当たり前だ。昨日からほとんど食事をしてない。


冷蔵庫を開けると、たくさんの飲み物や食べ物が入ってる。

ミネラルウォーターとサンドウィッチを取りだし、立ったまま食べた。

キッチンの引き出しを開けると、折り畳みのナイフが入ってる。

アタシはそれをジーパンのポケットにしまった。


それから、鉄格子のはまった窓を調べたが、外れそうな箇所はなく、アタシは途方にくれた。


――――でも、諦めない。

何かあるはず。


ここを出るために、アタシに出来る事が・・・

とりあえず、梨香を怒らせない様に行動しよう。


少しづつ説得していけば、こんな馬鹿な事をやめてくれるかもしれない。


駄目なら・・・


・・・・


いや、そんな事してはいけない。


―――――会いたいよ。大樹。。。


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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん

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