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9章:それぞれの朝 (2/5)


――――朝が来た

窓に寄って行き、カーテンを少し開けて外を覗くと、明るくなってきている。


真美―――――お前が目覚めた時・・・

俺は何て言おう。
一晩中考えてたけど、うまい言葉が見つからない。


俺はダメなヤツだな。

――――――ピピピピピ――――

携帯のアラームがなる。


「ん・・・。」


真美の目がゆっくりと開く。


「・・・あれ・・・?大樹?・・・寝てないの?」

昨日から着ているスーツ姿を俺を、不思議そうに見ている。


「なあ、昨日の夜の事・・覚えてるか?」

俺の呼吸は少し早くなった。


「昨日の夜?んー・・・・昨日は・・・梨香と別れて、隣のおばあちゃんに会って・・・・・ごめん覚えてない。」

俺は少しホッとした。

「昨日、お前襲われそうになったんだぞ。いやーマジで危なかった!」

俺は大袈裟に、大声で経緯を話した。

もちろん作り話しを交えてる。

真美は顔色を変えず、黙って聞いてる。

何だか、嘘を見抜いてるかの様に。。。


「そっかぁ・・・じゃあ、大樹が来なかったら・・・危なかったんだ。」


「ああ、ほんっとよかったよ。だけど念のため・・・しばらく店、休んでくれないか?なんだったら、辞めてもいいし。」


真美は答えない。


「真美・・・?」


「・・・あ、うん・・・わかった。」


・・・・もしかして、何か覚えてるのか・・・?

でも、もう後には引けない。
嘘を突き通す事を決めたんだ。

それに・・・何より犯されてない、と言ってた梨香の言葉。

信じるしかない。


「じゃあ、店長からサボりの許可をもらったから・・・ゆっくりしよっかなあ〜」

ベッドの上で伸びながら、答える。


「まあ、店がヤバくなったら出てもらうかな。」

と笑うと、

「オニ〜!」

と、言って笑いながら睨む。


真美・・・


お前の笑顔を守るためなら、
俺はなんでもする。



だから・・・


お前を襲ったヤツを・・・見付けて俺は・・・

殺してやる。


「・・・大樹?こ・こ!」

真美が額に指を差して俺を見る。

「?」


「シワ、寄ってるよ。アタシは大丈夫!だから・・・」


最高の笑顔で、俺に

「笑ってよ」

と、言った。

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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん

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