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9章:それぞれの朝 (4/5)


「じゃあ、気をつけてね。なんかあったら、連絡してね。」


マンションの下まで、見送りに来てくれた梨香。

昨日は結局寝てないらしい。

「うん、ありがと。じゃあ・・・また。」


よく晴れた朝だ。

昨日とは違う、少しだけ軽い足取りで駅に向かう。


俺が住んでいたあの街は、変わったのだろうか。


帰りたくないとは思っていたけど・・・


まだ俺が小さくて、家族が一緒で何の悩みもなかったあの頃・・・

兄貴に会ってから、不意に頭に浮かんでくる。


いつか、梨香も一緒に帰れたら・・・・



――――駅に着き、バス乗り場に向かう。

これなら早く着きすぎず、少しだけ気持ちに余裕が持てる。


とりあえず兄貴に電話しておこう。


――――トゥルルルルル…

「もしもし。」


「あ、俺。今日帰るわ。バスだから・・・5時間位かな。」


「おう、わかった。迎えに行くから着いたら連絡してくれ。」


兄貴の声が少し弾んだ。
後ろから、子供達の騒がしい声。

「ん、サンキュ。じゃあまた後で。」


電話を切り、時計を見る。


まだ一時間近くあるな。


―――タバコでも吸いに行くか。


喫煙所に着き、途中で買った缶コーヒーを開ける。


喫煙所のガラス窓からタバコを吹かしつつ、人通りを眺めてると、一人の男と目が合った。

ソイツは俺を見て、近付いてきた。


「?・・・」


喫煙所に入ってきて、俺を見ながら
「やっぱ健ちゃんだ!ひっさびさだなー!」笑顔になった。


俺の記憶が蘇る。


「おぉ!太一か!うわーほんと久しぶりだなー!」


丸岡太一。高校の同級生だ。
とは言っても、小さい街。

小・中・高はひとつづつしかない。仲間はほとんどがずっと一緒だ。


「健ちゃん、変わんねぇーなー、今何してんの?」

コイツの人懐っこい笑顔も変わらない。


他愛もない話しをしているうちに、バスの時間が近付いてきた。


「じゃ、俺行くわ。今度絶対飲みに来いよ!」

「行く行く!・・・健ちゃん、頑張れよ。」

俺は笑って「ああ。」と答えた。


太一は近くで働いてるらしく、いつもここの駅を利用してるらしい。


最後にタバコをひと吸いして、捨てた。


――――さあ、行くか。


過去に決着をつけに――――


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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん

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