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9章:それぞれの朝
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――――いつもの携帯のアラームで目が覚めると、大樹がいた。
―――大樹の顔が疲れてる。
話しを聞くと、なんとなく思い出してきた。
大樹・・・相変わらず嘘が下手だね。
多分、間一髪なんかじゃない。
アタシは襲われたんだろう。
酷く曖昧な記憶の中・・・カラダに舌が這いまわる感覚が残ってる。
ただ本当に、挿入はされてないみたいだ。
その感覚がない。
昨日着ていた服も見当たらない。
気持ち悪いから捨てたと言うけれど・・・
「真美・・・?」
大樹が心配そうに見てる。
笑わなきゃ
「あ、うん・・・わかった」
大樹がホッとしている。
ごめん・・・
心配かけて。。。
アナタには笑ってて欲しい。
他には何もいらないの。
そして、アナタ以外に失うものもない。
襲われたって平気なんだよ。
だから・・・ね、笑ってよ。
怖い顔・・・しないで。
下手な嘘をつかせてごめんね。
・・・・そういえば昨日の夜、梨香もいた。
何か知ってるかな?
後で電話して、聞いてみよう。
「じゃあ、俺行くわ。」
立ち上がり、ベッドに近付いてくる。
「俺も休みてぇ〜!」
ギューっと抱きついてくる。
「休んじゃえ〜。」
大樹の首に手を回して、ベッドに引っ張り込む。
キスをする。
長く熱いキス。。。
「・・・・・じゃあ、行く」
「うん・・・行ってらっしゃい」
名残惜しそうに、手を離す。
「昼にご飯食べにくる。なんか買ってくるから家にいて。」
上着を着て、ネクタイを占め直す。
「わかった。早く帰って来てね。ダーリン♪」
照れ笑いをしながら、
「バーカ」
と言いつつ、出て行った。
鍵を占める。
―――――カラダのアチコチが痛い。
鏡の前で裸になって確認する。
両手首と両足首に微かに縛られた跡。
あとは・・・・
大丈夫みたい。
それにしても、頭が重い。
多分、薬かな。
ヤバイ薬だったらどうしよう。
不意に涙が流れる。
怖くない。
こんな事、なんでもない。
ごめんね、大樹。
辛い思いさせちゃって、ごめん。。。。
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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん
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