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8章:眠れない夜
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マンションを出ると、タクシーが停まってた。
運転手が気づき、ドアを開ける。
「えっとぉ・・・○○まで。」
自宅の住所を告げて、乗り込む。
とりあえず―――
家に戻ろう。
早く―――
早くアレを確認したい。
「・・・ふっ。うふふっ。」
ヤバイ・・・
堪えてた笑いが止まらない。
ミラー越しに、運転手がこっちを見て話しかける。
「お姉さん、ご機嫌だねぇ。いいことでもあったかい?」
―――いいこと?
「あはっ、わかりますぅ?」
梨香は最高の笑顔で答えた。
「いいねぇ〜!まぁ、こんな不景気な世の中、いいことでもなきゃやってられねぇもんなぁ。」
この運転手は少し、東北訛りがあった。
―――あの人と同じ訛り―――
いつもなら、気持ちが悪くなるところだけど・・・
今日は大丈夫!
だって・・・
あははっ、手が震えてる!
梨香の体・・・興奮してる。
あっ!
そういえば、メール着てたなぁ。
――――まっ、家に着いてから見よう。
どーせアイツだろうし。
「ここで停めてくださ〜い。」
大樹さんからもらったお金を出す。
自分のマンション前に着き、タクシーを降りると誰かが立っていた。
―――ん?
「梨香?」
「あれっ!健ちゃん?どぉしたの?!お店は?」
健ちゃんだった。
左手に黒のボストンバックとコンビニ袋。
「俺さ・・・しばらく店休むわ。それで・・・一度実家に帰ってくる。」
あぁ、この前お兄さんが店に来たって言ってたっけ。
「これから帰るの?」
「いや、明日の朝帰ろうと思って・・・メール見た?」
あ!健ちゃんのメールだったんだ!
「見てない・・・ごめ〜ん!色々あって・・・とりあえず、ウチ入って?」
あ〜ぁ、失敗しちゃったなぁ。
まあいいや。
明日お店休もう。
後から店に電話しよっと。
少し間があって、
「ん・・・。ありがと梨香。」
と泣きそうな顔してる健ちゃんが、返事をした。
―――――はぁ・・・今日はオアズケ。
仕方ない。楽しみは後にとっておこう。。。
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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん
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