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7章:疑心
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「くそっ!!真美をあんな目に遭わせたヤツ・・・殺してやりてぇ。」
拳を握りしめ、行き場の失った手は結局、自分の手のひらに収まった。
「ほんとに・・・でも真美ちゃんが、拉致られてなくて・・・よかった・・・」
梨香は泣き笑いのような顔で、答えた。
「確かにそうかもしんないけど・・・」
俺は情けないやら、犯人の怒りやらでやりきれない気持ちになった。
「大樹さん、落ち着いて。まだ襲われたかどうかわかんないじゃん。」
「・・・は?お前本気で言ってんの?!ヤラれてない訳ねーじゃん!」
自分で言った言葉に、驚いた。
「・・・ごめん梨香。」
梨香が作り笑顔で答える。
「いいの。梨香も無神経だった。でも梨香は・・・真美ちゃんが傷つけられてなくて・・・少しほっとしたの。だって・・・殺されてたかもしれないでしょ」
俺は梨香の言葉に動揺した。
――――確かに。
頭がオカシイ奴なら、それもあり得る。
ただ、俺達は
いや俺は、そこまで考えてなかった。
今更ながら、震えがくる。
それにしても・・・
女ってのは、肝が座ってるっていうか・・
梨香の的確な行動に、俺は少し驚いて、感心していた。
真美の携帯が繋がらなくて、梨香に連絡すると一時間も前に別れたと言う。
「大樹さん、梨香が様子見に行ってくるよ。多分お風呂にでも入ってるんじゃない?」
まあ、そうかも。
と俺はあまり、気にしてなかった。
30分後―――
梨香から電話が着た時、真美は家にいた。
と言うより梨香が、意識が朦朧としてる真美を、偶然通った近所の女性と運んだらしい。
「酔っぱらってしまって・・・」
と言って。
「大樹さん、すぐ来て!」
俺は嫌な予感がした。
急いで家まで行くと、真美はベッドの上で、梨香に体を拭いてもらってた。
もちろん意識はない。
確かに梨香の言う通り、体は傷付いてなかった。
ただ――――
「大樹さん、さっきの話しだけど・・」
梨香が言いづらそうに口を開く。
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