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6章:影
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とうとうこの日が来た!
愛里ちゃんとデートの日!
興奮しすぎて眠れなくて、何度もキミを想像して抜いたよ。
あっと、頼まれたカメラとビデオカメラを鞄に入れて…完璧!
「じゃあママ行ってくるねー。」
僕が玄関先に立って声をかけると、慌ててママが出てきた。
「あ、ひろくん…、気をつけて行ってらっしゃいね。」
ぷっ、ママの顔。左目がパンダみたいに青くなってる。
さっさとお金を渡さないママが悪いんだよ?
自業自得だ。
「遅くなっても電話しないでね、ウザイから。じゃあね。」
わざと戸を勢いよく閉めた。
クックック……
びっくりしたかな?
僕は今年で30歳になる、まあニートってやつ。
仕方ないんだ。
世間が僕のレベルについてこれないから。
僕は某有名大学を卒業して、コンピューター会社に就職した。
その職場は最悪だったね。
特に女子社員。
「松永さんって気持ち悪くない?臭そう」
「ぷっ、聞こえるよ!」
人を容姿で判断しやがって!
お前らは大人しく茶でも入れていればいいんだ。雌豚どもめ!
そうそう、上司の花田も最悪だった。
「おい、松永!取引先から電話があったんだろ!なぜ俺に言わないんだ!」
たまたま忘れてただけだ、それを皆の前で怒鳴るなんて…
「返事はねぇのか!?ったく…使えねぇな〜」
お前はどこの大学だ?馬鹿にしやがって!
あんな会社、こっちから願いさげだ!
まあそのあと、親父が亡くなって保険金が降りた。
遺族年金も入ってくる。
金はある。
それを…あのババア出し渋りやがって。
あ、いけないいけない。こんな怖い顔してたら、愛里ちゃんが怖がっちゃう。
愛里ちゃん……
キミは天使だ。
両親の借金のため、あんなところで働いてるのに、少しも汚れたりしない。
心も体も天使そのもの。
僕は…
僕だけはキミの味方だよ。
そしたいつかは、キミと一緒にこんな汚れた世界から、旅立つんだ。
――――確かこの辺のファミレスだったよなぁ。
あ、ここだ。
「いらっしゃいませ〜!お一人様ですか?」
「いや、ま、待ち合わせで…」
「あ、はい。では、あちらの方でしょうか?」
ん?あっ、愛里ちゃん?だよね。
なんだかいつもと…
「あっはい、そうです。」
席に案内されて行くと、やっぱりいつもと違う愛里ちゃんがいた。
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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん
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