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3章:健次の日常 (3/3)


「まあ、入って入って!初めてじゃん!びっくりした〜」

俺と兄貴は10歳以上離れてる。
そのせいか父親のような、優しくも厳しい兄だ。
「へぇ〜なかなかいい店だな。どうだ?食っていけてるのか?」

と店の中をキョロキョロ見渡す。


「ん、まあね。ビールでいい?」

兄貴はビールか日本酒しか飲まない。

「おう。」

カウンターに腰をおろすと、ジャケットの胸ポケットからマルボロを取りだし、火を着ける。

「まあ元気そうだな。安心したよ。いや、少し痩せたか?」

俺の顔を見ながら、ふぅーっと煙を吐く。

「そうかな。兄貴は少し太った?」

からかうように、ウィスキーをチビり。

「そうか?最近は奈々にも言われる。」

ビールをゴクリと飲む。

奈々とは、兄貴の嫁さんだ。俺も何度か電話で話しをしたが、「出来た嫁」って感じで、口下手な兄貴にはぴったりだ。


たわいもない話しをしてる間に、他の客が帰って行った。

―――気が付けば、もう4時――――。


「そろそろ帰るわ。会計してくれ。」

財布を出す。

俺は全力で拒否。

「いや、やめてくれ兄貴。今夜は俺の奢り?って事で!頼むよ。」

兄貴は苦笑い。

「そうか?じゃあ甘えるか。」

再び財布をしまい、吸っていた煙草を揉み消す。

少しの沈黙の後、兄貴が言いづらそうに口を開いた。

「お前、まだ許せないか?茂さんの事。」

俺は答える事ができなかった。

「いや、よそう。まあ、たまには顔出せ。奈々やチビもお前に会いたがってるから。」

兄貴は残ったビールを一気に流し込んだ。

「うん、そうだね。そのうちに。」

と答えたが、正直あの街に一時的にでも帰る気はなかった。

厄介事を全部、兄貴に押し付けて逃げるようにあの街を出て。。

本来なら、こんな風に心配されるような、いい弟じゃない。

俺はヤツを許せないし、ヤツも俺には会いたくないだろう。


そして母さんも。


ごめん
兄貴

でも俺、あの街にはいられなかったんだ。

ヤツを見るのも、あんな母さんを見るのも辛かったんだ。。。


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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん

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