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1章:日常
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「はい、ビール。…あ!お疲れッス!」
ビールを置くか置かないか位で、アタシの後ろに目を向けた。
振り向くと、大樹が入ってくるところだった。
「やっぱりまだいたー。愛里はツブれたのか、しょうがないなぁ。」
とアタシの隣に座る。
「健次、俺もビール」
「ウッス!」
と笑顔でビールを注ぎに行った健ちゃん。
「お疲れ様、今日は早かったんだ」
と、顔を見る。
今日は会えないと思ってたから嬉しくて、思わず顔がほころぶ。
「ん、今日はいいんだ。山本がいたから。」
山本さんは、大樹が一番信頼してるスタッフ。
「そう、久しぶりに一緒に飲めるね。」
と言うと、
「バーカ。飲みすぎんなよ。」
って笑って、ビールグラスで乾杯の仕草。
大樹はかなりの酒豪。アタシも強いほうなのに、一度も勝てない。
「大樹さん、自分もいただきます!」
と健ちゃん。
「おう、飲め飲め!」
大樹がいるせいか、久しぶりに気持ちよく酔いそうな感じ。
―――――――
――――「おい、着いたぞ」
「ん………あれ、ここどこ?」
半分意識が飛びつつ、気がつくとタクシーの中だった。
自分のマンションに着いて、支えてもらいながら部屋へ向かうエレベーターの中、着てた郵便を見る。
またあった。
例の手紙。
パソコンで打った宛名。
差出人なし。
「またきたのか。」
大樹はそう言うと、アタシから封筒を奪い取り中身を開けた。
内容はいつも一緒
「オマエヲコロシテヤル。ナニモシンパイスルコトハナイ。オレモイッショダ。オマエノコトハオレガイチバンワカッテル。」
―――頭がイカれてる。
ここ三ヶ月の間にもう六通目。
大樹が「結婚」に焦ってるのは、この事が心配だからかもしれない。
アタシはあまりに気にしてなかった。
一応警察には行ったが、特に対策はしてくれない。
せいぜい、家の周りを見回るくらい。
家に着き、部屋に入る。
冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを出して、一気に飲む。
服を脱いでベッドに潜りこむ。
「真美〜化粧落とさなくていいの?」
と大樹が残りのミネラルウォーターを飲みつつ、スーツを脱いでベッドに入ってきた。
「ん〜いいや。寝る」
大樹が頭を撫でながら「しょうがねぇな〜」と笑ってる。
アタシは幸せな気分のまま、眠りに着いた―――――。。。
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―深愛―果てにあるもの ©著者:まいん
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