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5章:過去 (3/4)

あまりにも美味しいとは思えないこのキノコはマジックマッシュルームと言う。
俺はそのキノコを机にしまった。


立花隆のベストセラー「臨死体験」を読んだ。人間の側頭葉に刺激を与えると死後の世界が見える。LSDをやると不思議な幻覚が見える。人間の5感を全て遮断すると不思議な幻覚を見る。それらを同時に行うと死んだ肉親に会う事ができた。一見怪しい小説だが、この様な体験談を基に科学的に徹底調査する内容で読んでいてとても 興味が湧いた。


俺は恋人や親友を亡くした事より当時精神的に病んでいてそれらをやってみたいと本気で思っていた。


1ヶ月位して俺はやっと学校へ登校した。ワッキーが俺に話しかけてきた。

「キノコどうだった?」


「机の中にしまったままだよ」


「やらないなら返せよ」


「ああいいよ」


「お前あれ超いいのによ、合法だしキマッタラLSDなんか目じゃないぜ」


「LSD?」


「LSDよりもっとスゲー幻覚が見えるよ」


「・・・」


ワッキーは完全なジャンキーだ。1年生の頃は一番成績が良かったが薬物にハマリ今は留年も確定。時々意味の解らない事を言い出す。今までは一歩引いていたがワッキーが今話した「LSDなんか目じゃないぜ」は俺の心に完全に響いてしまった。


俺は家に帰り机の中のマジックマッシュルームを取り出す。相変わらず食う気にはなれない。
「死後の世界を見てみたい。あいつらに話したい事が沢山あるんだ」そう思い俺は量も考えず袋に入っているキノコ全部を一気に飲み込んだ。
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HOSPITAL ©著者:小上晴

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