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3章:薬物 (2/5)

1998年 8月



アメージンググレースが流れる。



母が俺に言う。「あなたも行ってきなさい。」



俺はあまり知らない人達の間をすり抜けかおりの顔を見る。



相変わらず別人にしか思えない。



ただ薄ら残る意識の中でもうかおりに触れる事ができなくなると思い、彼女の顔に触れる。



周りの人々の視線を一気に浴びる。



俺はかおりの顔から短くなってしまった彼女の髪を撫でる。



彼女の父親が泣きながらかおりの手を握り彼女を呼ぶ。彼女のお婆さんが彼女の顔にキスをする。



知らないおじさんが俺に泣きながら「よっちゃん頑張るんだぞ」と肩を叩く。





煙突に煙が上がる。



皆が会話をしながら寿司をつまむ。



かおりの母親は毅然とした様子で椅子に座っている。





作業員が残った骨を砕いている。



色の付いた骨を知らない女の子と一緒に拾う。



熱い骨を拾い終わると気が遠くなりそうになる。



葬儀場に戻り一番に立ち去る。



後ろから「すいません」と声をかけられる。



写真で見た事のある女の子達に「頑張ってください」と言われる。



数時間後にまたその場所へ戻ると彼女の名前の書いてある看板がもう無くなっている。



俺は彼女宛に書いた手紙を近くの川に流す。







6年経った今でも鮮明に思い出す事ができる。今日は彼女の命日だ。
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HOSPITAL ©著者:小上晴

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