17章:悦子の浮気 (2/11)

悦子は、慣れた様子でホストクラブへと入って行った。


『ここ、よく来るんですか？』

と、アカネが尋ねると、悦子は


「ここは最近よく来るわよ。まだ出来て一年だけど、すごくやる気のあるホストが多くていいわよ。」


と言った。

本当に悦子がいうとおり、ホストみんなが笑顔といい、身なりといい、誰が新人かもわからないくらいの輝きを放っていた。


悦子は、この店にも買収したホストがいて、そのホストから他のホストの情報を聞き出していた。


これが悦子のいつものやりかただった。

ターゲットがいてもいなくても、必ず店に一人だけ信用できるホストを選び、毎回くるたびに高級シャンパンを入れる変わりに、必要な情報を入手していた。


お金がなくてはできないことだが、悦子はそれができるだけのお金があった。


『ホストが一番欲しいのはお金よ。愛とか恋とかじゃないわ。愛とか恋とかが欲しいホストは、まず続かないし信用できないわ。』


悦子はいつもアカネにそんなことを言っていた。