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2章:父さんの兄…
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じいちゃんの兄は1週間ほど伊藤家に滞在することになった。
じいちゃんは元から働きに行く人ではなかったが、兄が滞在している間も案の定仕事をずっと休んだ。
ばあちゃんはそんな父の姿を見ても、口を出すことはなかった。
兄: いやぁ…リヨ子ちゃん、なんだか悪いねぇ…迷惑ばかりかけてしまって…
リヨ: なんもですよ。なんのお構いもできませんで…わざわざ遠い所から足を運んで下さったのに…
一郎: 兄さん、気をつかうことないさ(笑)俺達は唯一血の繋がった兄弟だろ…
兄: ありがとう…。それにしても、おめぇのとこはにぎやかでいいな(笑)可愛い子供達に囲まれてよ
一郎: なんもだぁ〜、うるさくてたまんね〜ど!
じいちゃんの兄には子供がいなかった。
奥さんに子供ができなかったのだ。
そんな兄は、弟に子供がたくさんいることをいつも羨ましく思っていた。
兄: いやぁ〜、それにしても6人子供おるけど、麗ちゃんが一番可愛いなぁ…
おまえんとこは幸せだなぁ
一郎: 兄さんは、麗がお気に入りかぁ(笑)きかねぇ〜ぞ…
兄: それよりよ…俺は麗ちゃんを見てると悲しくなるんだよな…
一郎: なんでだよ?
兄: 言いにくいことだけどよ…もうちょっと優しくしてやれよ…なんだか…他の兄弟達と距離があるっちゅーか…なんだか可哀想だな…
一郎: そんなことねーだろ?兄さんの考えすぎだべ?麗がめんこいからそう思うだけだろ?
兄: いいや!そんなことない!家族の問題に口は挟みたかねーが、おまえは麗に厳しすぎだ!女の子なんだからもっと気を使うべきだぞ!
お酒が入っていたこともあり、兄さんが言った一言で、揉め始めた二人…
確かに…じいちゃんは父親としてママには厳しかった。兄弟達と距離があったのも本当だ…。
そして…ママも口には出さなかったが、身が震えるほど…そして…痛いくらいに差別的なものを…兄弟6人一人だけ違うことを痛感していた。
父親の怖さ…
そして…
母親の大変さ…
自分が我慢をすれば、父親から殴られることは無い…
母親が悩み…そして大変な思いをさせなくてすむ…
ママはずっと黙っていた…
一人寂しくなった時…
居場所が無くなった時は…
いつも公園の高い木の上で…
歌を歌い続けたと言う…
そんなママを見て…
兄は…悲しく思った…
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