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1章:羽田先生
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羽田: 調子良くないって…前はちゃんと出席してたのにどうしたんだ?
みみ: ……
羽田: 何か…こんなこと言うのもアレだけどな…
羽田は生えかけの無精髭を照れ臭そうに触りながら続けた。
羽田: 悩みがあるんじゃないのか…?俺で良かったらいつでも聞くから…
羽田は心配そうにみみの目を覗き込む。
少し眠たそうな目に凛々しい眉毛。男臭さの中にもやさしい表情をする羽田が、みみは好きだった。
チラリとその目が合い、思わず目をそらす。
みみ: …なんでもないですっ!
みみは駆け出した。
せんせい…すごく心配してた。
ぼんやりしながら、みみはベッドに横たわっていた。
なんで羽田はあんなに鈍感なのだろう。みみは、授業にも集中できないほどに胸焦がしているのに。
男にはわからないのかも知れない。
羽田の心配そうに覗き込む目を思い出して、また胸が熱くなり、クッションに思いきり顔をうずめた。
ピンク色の下着。みみの大好きな色だ。誰にも言えはしないけど、勝負に出る時着ける色。
みみは帰りのチャイムを待った。
一斉にみな立ち上がり、いつもの様に教室を出る。
みみは一目散に職員室に向かった。
羽田: おう!座れ!
羽田が椅子を引く。みみは分からないように深呼吸しながら、向かいに腰かけた。
羽田: やっと話してくれる気になったか?
みみ: ……
羽田: まぁ、無理はするな。話したい時でいいんだ。俺にできる事なら、協力してやるつもりだしな。だいたい…
みみ: 先生ッ!
羽田: んっ?
みみはうつむきながら言う。
みみ: 話がしたいんです…ふたりっきりで…。あんまり回りに人がいると辛くて……
羽田は回りをさりげなく見回して、声を潜めた。
羽田: 悪かったな。じゃあ、ちょっと付いてこい!
二人は体育館の脇にある倉庫に向かった。今日は部活動もないらしい。バスケットボールが一つだけ、ゴールの下に置き去りのままだ。
みみ: 先生?なんか…疑われたりしないかなぁ?
羽田は倉庫の扉を片手で閉めながら笑う。
羽田: 大丈夫だよ。何もやましい事は無い。…生徒の相談を聞くため、わざわざここを選んだ。ここだったら、誰も来ない。盗み聞きなんてあり得ない。…な?
みみは小さくうなずき、敷きっぱなしのマットに座り込んだ。
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