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2章:今田先生 (1/28)

2章:今田先生

何してる!!


コンビニの自動ドアを出て、目の前の信号待ちをしようとした時だった。

大きな声で、誰かに呼び掛けられた。


おそるおそる振り替えると、日本史の今田が立っていた。


みみ: えっ……

今田: えっ、じゃないだろう!今、何をした?

みみ: ………

今田: とにかく、こっちに来なさい

今田はみみの手を引き、コンビニ脇の駐車場まで引っ張った。


今田: 先生、見たんだぞ?

みみ: なっ……何をですかっ

今田: ごまかしても無駄だよ。みせてごらん?

今田が目の前に手を差し出す。

みみ: ………

今田: …わかった、じゃあ一緒に謝りに行こうか

みみはうつむく。

今田は手を取り、歩き出そうとした。

みみ: いやっ!!

みみは手を振りほどく。
今田はバッと振り返り、みみを睨み付けた。

今田: じゃあ、乗りなさい!ゆっくり話しよう

みみはためらったが、ここでコンビニに戻るわけにはいかなかった。



助手席に乗り込むと、みみはうつむきじっとした。

今田: 何を盗ったか、見せてごらん?

みみ: …えっとぉ……

今田: 言い訳はいいから!!

今田は急にハンドルを叩き、声を荒げた。

みみはビクッと肩をすくませた。

今田: 見せてごらん?誰にも言わないから…

気持ち悪いぐらいに優しい声で、今田はみみを諭す。

みみは黙って鞄から、小さなピンクの包みを出した。

生理用のナプキンだった。


今田: そっか、そうだよね、恥ずかしいよねぇ…?

みみ: 今田先生っ、誰にも…言わないでくださいッ

今田は横目でちらりとみみを見て続けた。

今田: ん〜、万引きはなぁ…まずいよなぁ…

今田はわざとらしく考えるふりをする。

みみは泣き出した。


今田: 泣いたってしょうがないじゃないの…!

みみ: ごめんなさいっ!

みみは顔を両手で覆う。

今田: みみちゃん?

みみは顔を上げて今田の方を見る。下の名前で呼ばれるなんて、なんだかおかしい。

ジロリと全身を舐め回すように見てから言った。

今田: もし、この事お母さんに知られたら…あんなに大きい会社じゃ、やってけないんじゃないの?


嫌な予感がする…

みみは冷や汗が吹き出した。
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みみ ©著者:まお

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