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2章:壊れる気持ち
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(行きたくないなぁ)
今日はパートの日だ。パートはいい。週に何回か入ってるだけだから気楽なもんだ。でも月に1回くらい本部の人が来る。その日だけは憂鬱になる。重い腰を上げパート先に向かう。
私の他にも何人か働いてる人はいる。でも怒られるのは、私ともう一人の主婦だけだ。21歳の彩花ちゃんは怒られない。当たり前のことだ。本部の男は若い女の子には優しい。もしかしたら、ほとんどの会社の上司がそんなもんなのかもしれない。私が昔、働いていた時もそうだった。まだハタチくらいの頃、怒られるのは能力のない‘お局様’と呼ばれる女の先輩だった。そういう役回りなのだ。
「佐々木!」
本部の男が大声で私を呼んだ。朝のミーティングでは、それぞれ目標を発表する。どうやら私の番みたいだ。私は心にもない目標を発表した。
お昼。休憩室に行くとバイトの子達が何か相談していた。
「冬子さんは、いつがいいですかぁ」彩花ちゃんが聞いた。
「いつって何?」
「新人歓迎会も兼ねて、お花見しようって話してるんですよぉ」
「私は、いつでもいいよ。」
彩花ちゃんを見ながら、若さを羨ましく思った。きっと毎日がキラキラしているんだろうな。
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壊れる―コワレル― ©著者:あおい美咲
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