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14章:「オレの名は、」 神の声。
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14章:「オレの名は、」 神の声。
オレは昼過ぎに目が覚めた。
ソファーで寝ていたようだ。
テーブルの上の山盛りになった灰皿を見て、朝方まで北山と最近の六本木事情や世間話をしたのを思い出した。
床にはテーブルを囲うように、くの字にして寝ている北山がいた。
オレの中でまだ若い北山が、後輩のキンヤとダブった。
事務所といえど普通のマンションの一室。
スヤスヤと寝ている北山の寝顔と、普通の日常生活での部屋を見渡し、出所した事を改めて実感した。
カーテンの隙間から光が溢れる。
オレはカーテンを開け、ベランダからのどかな風景をしばらく眺めた。
わずかな希望の光を胸に出所したオレ。
実際に出所すると、こんなにも温かい光がオレを祝福してくれていた。
長かった刑務所生活。
孤独に耐えた三年半。
オレの空白の三年半の隙間を温かい光が埋めてくれた。
会う事を諦めたケーコ、まだ見ぬ娘、岡山に残したキンヤ。
置いてきたオレの大事な想い出が少しずつ甦り
「会いたい。」
気持ちへと進化していった。
そして今日、藤江と会う……。
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『回収屋』〜光と影〜 ©著者:奈義
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