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8章:「オレの名は、」 黍野龍。
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8章:「オレの名は、」 黍野龍。
ケーコと六本木での偶然な再会。
それは、偶然ではなく必然的であった。
オレは懲役一年半の求刑を受けた。
ケーコの客は、某大手企業の役員だった。
犯行に使用されたナイフは客の所持品だったため、殺人未遂は免れ、傷害事件になった。
運よく目撃者もいなかったので、現場にはオレと客の二人しかいない事にした。
客には家庭があり、ケーコの存在を知られたくなかったため、自ら出頭した事により、オレが描いていた通りの展開となった。
長い長い刑務所での生活が始まった。
オレは自分の家族のために、もう一度人生をやり直したかった。
一日でも早く出所したかった。
まだ一度も会っていない娘と、オレの事をずっと待ってくれているケーコを信じて…。
刑務所の中で、ある男と出会う。
男の名は「黍野龍」…。
後の『回収屋』のメンバーである。
始めは軽く話す程度だった。
徐々に仲が良くなるにつれ、真鍋は黍野の「何か」を感じていた。
黍野は腰が低く、とても罪を犯した人間には見えない雰囲気だ。
常にオドオドし、周りに気を使ってばかりいた。
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『回収屋』〜光と影〜 ©著者:奈義
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