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5章:「オレの名は、」 偶然。
オレは東京の人の多さに驚いた。
岡山に例えるなら、毎日が「花火大会」のような混雑ぶりだ。
あまりの人の多さに、偶然ケーコと会えるという甘い考えは、都会の雑音とともにかき消された…。
誰もオレを見ていない。
人混みの中の、ただの一人にしかすぎないオレ…。
前科があり学歴も無いオレが働ける場といったら、キャバクラのボーイくらいしか仕事が無かった。
求人誌で探した店で働く事にした。
キャバクラは未経験で、東京に来たばかりのオレは何も知らなかったが、オレが入った店の名前は<チョークスリーパー>で六本木にあり、俗に<チョークグループ〉と言い都内でも最大手のキャバクラだった。
オレが入店した一ヶ月経過した頃に、後に『回収屋』を一緒にする事になる藤江が<チョークスリーパー>に入店してきた。
藤江とは同い年で入店した時期も、ほぼ同じという事もあり、すぐに打ち解けて仲良くなった。
藤江も刑務所から出てきて、人生をやり直そうと決意して、福岡から上京して来た。
それから三ヶ月が経過した。
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『回収屋』〜光と影〜 ©著者:奈義
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