Tは貧しい子供時代を送った。
それでも母親を信じていたし、母親が大好きだった。
小学５年生の時に母親には別に家族がいることが判明して、実家から弁護士、代理人の親族が多くやってきた。
内容は母親の元旦那が病死したから、その相続を諦めてくれというものだった。
知的障害の兄がいるが、その父親が不倫相手だったようで親族総出で母親を追い出したらしい。
元旦那はそれでも離婚したくないと頑なで、仕方ないから協議離婚という結論に至った。
そして元旦那はTの母親が帰ってくるのを待ちわびながら、若くして病死したらしい。
母親が言うには鎌倉の由緒正しい家柄だったといって自慢していたが、そんな良い家柄なのにそんな酷いことをするのかと子供心に思った。
その後、元旦那側の子どもたちと出会うことになったけど、話もしないし、顔が気持ち悪かったのを覚えている。
結局、子供は可愛くて格好良くないといけないと思った。
だけど母親は子どもたちと再会して、相続を諦めてしまった。